黒に映える艶が美しい黒豆煮は、後を引く甘さがたまりません。餅と三品の酒の肴さえあれば正月を祝えるとされる「祝い肴三種」ですが、関東では「黒豆」「田作り」「数の子」がそれにあたります。
諸説ありますが、黒豆を甘く煮る料理は江戸時代に栄えた料亭である「八百善(やおぜん)」が始めたと言われ、「マメ(豆)に元気に働けるように」と「無病息災」を祈って食されます。
関東では「シワが寄るまで長生きできるように」とあえてシワが寄るように黒豆を煮ますが、関西ではシワがないことを長生きの象徴と考え、「不老長寿」を願ってコロンと艶やかな黒豆煮を作ります。最近では、全国的にもシワのない黒豆煮が好まれるようになり、ふくよかな黒豆をいただく家庭も増えているようです。