赤ちゃんの誕生を祝福していただく「出産祝い」。その「出産祝い」に対して感謝の気持ちをお返しするのが「出産内祝い」です。
赤ちゃんの誕生に「おめでとう」を贈ってくださった方々には、本当に喜んでいただけるギフトを贈りたいもの。そこで、「気になるマナー」や「もらって困るギフト」についてのホンネを実際に出産内祝いを受け取った方々にお聞きしました。
受け取った方が残念に感じ、素直に喜べないNGマナーを調べてみました。
大別すると、贈り物の「金額」「届け方」「タイミング」の3つ。なかでも、やはり「金額」は大きなポイントになるようで、1位と3位にランクインしました。
ワースト1は、「自分が贈ったお祝いより高価なものをもらった」という場合。贈り手が良かれと思って高価なものをセレクトしても、喜んでくれる方ばかりではないようです。一方、「自分が贈ったお祝いの1/3以下の価格のものをもらった」という声も3位に。出産内祝いも他の返礼品同様、もらったものの「半返し(半額)」くらいの金額を意識しておく方が無難かもしれません。
「届け方」では、「カードや挨拶状がなかった」、「のしや包装がない状態で届いた」が2位と4位にランクイン。カードも、のしもない状態では、受け取った方が「何に対する贈り物なのかな?」と思われることもあるでしょう。感謝を込めて贈るギフトですから、親しい相手であってもマナーや作法に測ることが大切です。
「タイミング」に関しては、「お祝いを贈ったのも忘れたころに届いた」が5位に。出産内祝いは、お祝いを受け取ってから(赤ちゃんが生まれてから)1ヶ月以内にお返しすることを心がけましょう。
とはいえ出産直後はどうしても忙しくなってしまうもの。タイミングを逃してしまうこともあるかもしれません。その場合、なるべく早い段階でメッセージカードを贈り、お詫びの気持ちを丁寧に伝えましょう。半年以上過ぎた場合は、お祝いの名目が変わり、「出産祝い」ではなく、「誕生祝い」として贈ることができるようになります。相場は出産祝いと同様で問題ありませんが、やはりお詫びの一言を添えたいもの。そうすることで、お祝いの気持ちもよりしっかりと伝えられるでしょう。
ワーストランキング上位3位について、どの世代の方が気にされてたかを世代別に見ていきましょう。
どの項目でも50代の声がいちばん多いことから、50代の方々がマナーに厳格であることがわかります。出産内祝いのシチュエーションで考えると、ご両親や上司の世代がギフトのマナーに目を光らせている、というこうになります。
一つひとつを見ていくと、「自分が贈ったお祝いより高価なものをもらった」は、50代、60代が気にされている一方、「自分が贈ったお祝いの1/3以下の価格のものをもらった」は、20代の若い方も気にされていることがわかります。
「カードや挨拶状がない」に関しては、特に40代以降の方の30%近くが、違和感を持つようです。
それぞれのマナーについて気にされる世代はさまざまですが、どの方であっても赤ちゃんの誕生を祝福してくれた大切な方々。「金額」「届け方」「タイミング」をはずさなければ、きっと相手に感謝の気持ちが伝わるはずです。
次に「もらって困った出産内祝いのギフト」について見てみましょう。
1位に「趣味に合わない雑貨や小物」、2位に「嫌いな食べ物」がランクイン。そんなつもりはなくても、趣味・嗜好を押し付けるかたちになってしまいかねない品は避けた方が無難といえそうです。
3位は「賞味期限が短い食べ物」。配送の受け取りのタイミングがあわなかったり、食べようとしたら賞味期限が…ということにならない配慮も必要です。食べ物を贈る場合は、相手が好きなものを好きなタイミングで選べるカタログギフトも検討しましょう。
4位は、赤ちゃんの誕生日や写真、体重などを入れて贈る「名入れギフト」。贈り手には人気の高いギフトですが、別の調査では、「お米など食品の包装ならいいけど、食器やタオルなど、残るものはちょっと…」という声も。
一方で「親戚や近しい人からならもらってうれしい」という声もあるので、贈る相手に十分な配慮をする必要がありそうです。
5位には「体験型ギフト」。「エステ券をもらったけど、エステに興味がない…」、「温泉券はうれしいけど、なかなか遠出は…」といった声も集まっています。体験型ギフトでも、もらった方が好きな場所、体験を選べる、カタログギフトタイプも賢い選択といえそうです。
数は多くありませんが、マナーとして「内祝いに不適切なギフト」が存在します。
まずは「刃物」。「縁を切る」ことを連想させてしまうので贈り物には適さないとされています。地域によっては良いイメージで捉えてる場所もありますが、避けた方が無難といえるでしょう。
少し意外なところでは、「日本茶」は出産内祝いとしては忌避されます。弔事、香典返で選ばれることが多いものだからです。同様に、葬儀のあとに身を清めるために使われるということで、「塩」を贈ることも良くないとされています。
身につけるものの中では手軽に贈れそうな「靴下」も、内祝いには不適切。足で踏むことが失礼であるということで、目上の方へのプレゼントとしても不向きであると言われています。
せっかく贈る出産内祝い。しっかりマナーを守って、素敵なものを贈りたいものです。
職場の方への出産内祝いについては、頂いた金額の「半返し(半額)」 の品物を選ぶように。
上司へ内祝いを贈るときは、周囲にも気を配りましょう。まだ内祝いをもらってない人の前で上司へ手渡ししてしまうと、かえって上司の面子を潰してしまう可能性があります。できれば前もって内祝いを贈りたいことを伝えておき、自宅へ送るようにするのが無難です。
タオルといった日用品、スイーツやコーヒーなどの嗜好品は定番の内祝いです。また、カタログギフトや商品券のように、相手に好きなものを選んでもらえるものも喜ばれます。
ただし、ベルトや筆記用具のように、仕事関係のものを贈るのはタブーとされているので避けましょう。
両親からの出産内祝いには、お返しはいらないというメッセージや意思が示されていることも多いもの。その場合は素直に甘えてしまってかまいません。お祝いで購入したものや、赤ちゃんへの使用状況などを報告するのがお返しとなります。
ただし、家風や考え方によっては、お返しをしたほうが良いこともあります。その場合はお祝いの「半返し(半額)」 程度を目安に。
両親以外の人から、内祝いはいらないと言われるケースもあるでしょう。不要なものを贈られても困るという意思表示かもしれませんし、日本では何度か固辞したあとに受け取る習慣もあるので、本当に不要かどうかはよく見極める必要があります。
しかし、お相手から過分にいただいたと感じるのであれば、気持ちを込めて内祝いを行うことは失礼にはあたりません。必要なものを選んでもらえるように、カタログギフトなどを贈れば相手を困らせることもありません。
蝶結びは簡単にほどいて結び直せるため、何度でも来てほしい出産内祝いではこちらを選びましょう。ちなみに、結び切りは簡単にほどけないことから、一度きりであってほしい慶事や弔事に使用するもの。出産には望ましくないので、選ばないように注意しましょう。
出産内祝いの水引は紅白それぞれ5本のものを使うのが通例ですが、丁寧なお品には7本の水引を使うことも。
いずれにせよ、吉兆である陽数=奇数を用いるのが基本です。
出産内祝いは赤ちゃんの名前を披露する機会でもあるため、名前には必ずふりがなを。双子や三つ子の場合は、一番右側へ最初に生まれた赤ちゃんの名前を、生まれた順に左側へ書いていきます。
なお、ギフト専門店を通じて贈る場合は、ギフトにのし紙を付けることができるので利用してみましょう。配送などで贈る場合は、個人情報保護やのし紙の破損を避けるために、内のしにするほうが望ましいといえます。
ちなみに、内祝いにはのしを付けるのがマナーですが、「出産」というおめでたいシーンでの贈り物ですので、少しでも可愛く彩りたいと思う方も増えているようです。昨今では、素敵なイラストや地模様がついたのしも増えてきました。親しい間柄でのやりとりでは、カジュアルなデザインののしを選ぶのも選択肢のひとつです。
出産内祝いで選ばれている人気アイテムは、ギフトの定番ともいえる「スイーツ」や「タオルなどの日用雑貨」。
「消えもの」や「消耗品」は外さないギフトとして定番ですね。
ただ、実際に喜ばれた出産内祝いは「カタログギフト」や「商品券・ギフトカード」などという調査結果もあります。自分で好きな商品を選んで買いたい、という方へのはずさないギフトの定番となりそうです。