「結婚祝い」をいただいた新郎新婦が、感謝の気持ちを込めてお返しするのが「結婚内祝い」。では、「のし」や「水引」など「結婚内祝い」に必要なマナーにはどんなものがあるのでしょうか。
「のし」とは元々、縁起物である鮑を薄くのばした「熨斗鮑(のしあわび)」のこと。現在は簡略化されてのしと水引を印刷した紙を用いるのが一般的です。この紙が、のし紙です。
結婚の内祝いに使うのし紙を選ぶポイントは、3つあります。
水引の結び方には、「蝶結び」と「結び切り」があります。蝶結びは簡単にほどけて結び直せるので、出産や進学のように何度あっても嬉しいお祝いごとに使われます。一方、一度結ぶと端を引っぱってもほどけないのが「結び切り」。結婚のような一度きりの慶事のほか、お見舞いや快気祝いなどに用いられます。これは結婚に関する有名なマナーですが、「結婚内祝い」でも同様。
同じ慶事であっても、結婚の内祝いで蝶結びの水引を用いるのは、「結婚に何度も来て欲しい」という意味になってしまいます。選ぶ時にはご注意ください。
のしの「表書き」とは、水引の結び目の上に書き入れる内容のこと。
お祝いをいただいた方にお贈りすることが多い「結婚内祝い」では、「御礼」としてしまいそうですが、内祝いの本来の意味は「親しい方と慶事の喜びを分かち合う」こと。お返しやお礼とは違うので、「内祝」か、または「寿」としましょう。
また、表書きは内容によって書き分けるもの。披露宴に出席されない方からのお祝いには「内祝」、結婚式の引出物には「寿」と書くのが一般的。書く際は毛筆で、筆ペンでも問題ありませんが、必ず濃い黒の墨で。薄墨は不祝儀の時に使われる色なので気をつけましょう。
新郎新婦のお二人で「結婚内祝い」を選ぶのも楽しい時間ですが、残念ながらコロナ禍ではおすすめできません。贈られた方に心労をかけてしまう結果にも。オンラインショッピングや電話で手配するなど、人と直接接触する場面は避けて行いましょう。
水引の結び目の下には、差出人を書き入れます。ここには「結婚後の新しい姓」か「新しい姓の下に2人の名前を並べて」書くのがマナー。「名前を並べて書く」方が新郎新婦を紹介する意味合いで好ましく思われそうですが、結婚を「家同士の結びつき」と考える文化もありますから、「新しい姓」がよくない訳ではありません。迷ったらご両親などに相談を。
近年、結婚後も職場や取引先に対しては旧姓で通す、という方も増えていますが、結婚内祝いとなると少々事情が異なってきます。結婚後に旧姓を名乗るのは「通称」としてで、「本名」ではありません。ビジネスシーンでは、名前が変わることで仕事上の不都合が起きやすいため、通称が認められることもありますが、職場によっては本名を重視することも少なくないようです。もちろん問題ない場合も多くありますが、のしには、「本名」を書き入れるのが無難といえそうです。
郵送するなど「誰だかわからなくなる」可能性がある場合には、メッセージカードに旧姓を書き添えるなどしておきましょう。
のしには、内のしと外のしがあります。
内のしとは、贈り物にのし紙をかけ、その上から包装紙などで包むこと。一方、外のしは包装紙のさらに上からのし紙をかけることを指します。
包装紙をあけるまで内祝いであると分からないのが、内のしの特徴。そのため、控えめに贈りたい場合に好まれます。なお、郵送などで贈る場合は内のしのほうが望ましいでしょう。包装紙から個人情報を確認されたり、輸送中にのし紙が破れたりするリスクを防げます。
逆に、内祝いであることをはっきりと伝えたい場合は、外のしにするのが良いでしょう。相手へ直接手渡しする場合は一目で内祝いであることがわかるように、外のしを用いるのが一般的です。
内祝いは相手へ直接手渡しするのが望ましいとされていますが、とはいえ、やむをえず郵送する必要があると思います。その際はお礼状を添えておくようにしましょう。
お礼状では、次の内容を記載します。
贈る相手との関係性に合わせて文体や内容を変更し、しっかり感謝の気持ちを伝えるお礼状を作成しましょう。