どんなお歳暮を選ぶべきかは、どんな相手に贈るかによって決めることになります。特に法人が相手の場合、自社との立場の違いによって選び方も異なるため慎重に決めることが大切です。まず、法人に送る場合に多いのが、相手が自社にとって大事な取引先であるということです。主に自社の製品を納入してもらっていたり、サービスを利用して代金を支払ってもらっている立場である場合です。こういった相手であれば、それなりの予算を用意して多くの人に満足してもらえるものを贈ることが大切です。贈られた側は社員で分けるため個包装になっているものが望ましく、さらに挨拶の手紙にお返しは無用であるという一筆を添えておくべきだといえます。また、これから取引をしてもらいたいという会社に送る場合は、あまり高級すぎないものが無難です。高価なものを贈ると相手に気を遣わせてしまうことになり、ビジネスにおいても付き合いづらい相手だと認識されてしまうことがあるからです。
逆に、法人からお歳暮をもらった場合はどうでしょうか。お返しについて悩む担当者は少なくないでしょう。この場合、二通り考えられます。まずはこちら側も既にお歳暮を発送済だったケースです。お歳暮は日本で古くから行われているご挨拶の一種であり、そのためお互いに贈り合うケースや発送時期が重なってしまうことは珍しくありません。偶然、お歳暮を発送したその日に相手の法人からお歳暮が届いてしまうということも起こり得ます。この場合は、お礼のお電話やお礼状を送る程度で良いでしょう。お歳暮をすでに送っているにもかかわらず、お歳暮をもらったことに対するお返しまで送ってしまっては、相手を困らせてしまいます。そしてもう一つ考えられるのが、こちらはお歳暮を贈っていないのに、相手の法人からお歳暮をいただいてしまった場合です。会社の方針で贈らないと決まっていたり、あるいは単純に忘れてしまっていたというケースもあるでしょう。会社の方針で贈らないと決まっているのであれば、外装をあけずに送り返すこととなります。届いたその場で受け取り拒否をしてしまうと、送り主に返送分の送料も負担してもらうこととなるため、いったん受け取ってから改めて送り返すか、受け取り拒否とするかは、上司とよく相談しましょう。受け取った後に送り返す場合は、外装の上からさらに包装紙、会社の決まりで受け取れない旨とお礼を書いた手紙を添えて送ります。また、単純に送るのを忘れてしまった場合は、あわててお歳暮を送るのは心象が悪くなるため、お返しとして「寒中お見舞い」「寒中お伺い」を送ると良いでしょう。
法人同士でお歳暮の贈り合いをする場合は、マナーが重要視されます。お返しの項目でも触れましたが、同じ時期にお歳暮を互いに贈り合うことも珍しくありません。このような場合は互いにお礼の電話や手紙で済ませられるのですが、一方だけが贈り、もう一方がお返しもしないのは、マナーとしてあってはならないことです。事情があってお返しができない場合は、正直にそう伝え、いただいたお歳暮に関するお礼もしっかりと伝えなくてはなりません。また、贈る際のマナーについても考えてみましょう。本来であれば訪問し、直接お渡しするのが正しいマナーです。しかし、ビジネスの場合は相手の都合を重視して、あえて宅配にする会社も増えています。訪問の約束があらかじめ取り付けてあるのであれば、その時にお渡しするのも良いですが、そうでない場合は宅配便を選びましょう。気になる場合は、届いたとお電話をいただいた時などに持参でない失礼をお詫びします。お互いにマナーを守って気持ちよく贈りましょう。
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