冠婚葬祭とは日本に古くから伝わる、人の一生にまつわる重要な行事のこと。しかし、「冠婚葬祭」の「婚」と「葬」は結婚式、葬式と想像できますが、「冠」「祭」を 知っている方は少ないのでは。社会生活のなかで欠かせない重要な儀式について知識を身につけておきましょう。
冠婚葬祭の「冠」は、昔の「元服」のこと。「元服」とは、古来日本で行われてきた「成人を迎えたことを示す」儀式です。今でいう成人式に近いものですが、元服を迎える年齢はおおむね数え年で12歳から16歳と今よりも若く、時代によっては5〜6歳で元服することもあったといいます。上級貴族は元服にあたって冠をいただいたことから、「冠」の字を以て元服を示すようになったとされています。
現在では「非日常的な内容を楽しむイベント」の印象も強い「祭」ですが、本来は神仏や祖先をまつることで、祈りや感謝をささげる儀式です。祖先の祭礼、つまり法事や法要の他、お正月、お盆、お彼岸などが「祭」にあたります。
「婚」と「葬」については、今も文字通り残っている「結婚式」と「葬式」を示すとされています。そもそも冠婚葬祭は「人生における四大イベント」を総称したものとされているので、結婚式、葬式(死)が大イベントであるというのは、現在でもイメージしやすいのではないでしょうか。
広い意味での冠婚葬祭には、出産や入学・卒業など冠・婚・葬・祭の間に起こる家族の行事が含まれることもあります。結婚式や葬式のように家族以外の人も多数集めて儀式を行うことはありませんが、いずれも人生に大きく関わる節目の出来事です。
冠婚葬祭の形は時代によって変わり続けていますが、特にこの数十年は、従来の冠婚葬祭に含まない形の、新しい家族の行事が生まれてきています。前向きな離婚を記念して祝う「離婚式」、亡くなる前に開催し、本人も参加できる「生前葬」などといった行事も、いずれ正式に冠婚葬祭に含まれる時代が来るかもしれません。
冠婚葬祭において、結婚式と葬式以外にどの行事が含まれるか厳密な定義はされていません。ただ例えば「冠婚葬祭業界」と呼ばれる世界には、一般的に結納や結婚式に関連する企業、葬式や法事に関連する企業が含まれると見られています。